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最高裁判所第三小法廷 昭和27年(あ)610号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

被告人の上告趣意は、本件徳山市条例は憲法一一条二一条に違反するに拘らずこれによって被告人を有罪としたことは不当であると主張し、弁護人君野駿平の上告趣意第一点は、右条例は憲法二一条に違反し無効であるから、同条例を適用処断したことは憲法三一条に違反するというのであり、同第二点は、原審が右条例を合憲と判断したことは憲法一二条二一条の解釈を誤ったものであるというのである。

しかしながら、行列行進又は公衆の集団示威運動といえども、公共の秩序を保持し、又は公共の福祉が著しく侵されることを防止するため、特定の場所又は方法につき、合理的かつ明確な基準の下に、予じめ許可を受けしめ又は届出をなさしめてこのような場合にはこれを禁止することができる旨の規定を条例に設けても、これをもって直ちに憲法の保障する国民の自由を不当に制限するものと解することができないことは、すでに当裁判所大法廷判決の判示したところである(昭和二六年(あ)三一八八号同二九年一一月二四日大法廷判決)。そして、本件徳山市条例の内容は右判示の制約を具えているものと認め得るので違憲でないこと、前記大法廷判決の趣旨に徴し明らかである。それ故、同条例の違憲であることを論拠とする所論はすべて理由がない。

よって刑訴四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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